MTG航海日誌

航海だったり後悔だったり。MTGを楽しんでいきたい。

思い出を開拓する(1):青単電招の塔(青単コントロール)

こんにちは、ぷろすたです。

 

パイオニアというフォーマットが発表されて、1年以上経ちました。

1度だけグランプリでの種目に使用されて以来、コロナ禍への突入からアリーナのヒストリックの方が隆盛してきたりと、コロナ禍に突入する前に比べると下火になっていました。

 

しかし、今年の秋のローテーションで灯争大戦がスタンから去ってしまったり、ウーロやオムナスの禁止など、スタンダードに大きな変化が起きたためか、僕の周りではポツポツと

「パイオニアやりましょう!」

という声を頂くことが多くなってきました。

 

その層のほとんどが比較的最近(この1年〜2年くらいの間?)にマジックを始めた方ばかり。僕もこの1年間で過去のスタンダードで遊んだいろんなデッキをパイオニアに作り直して遊んできました。

実際、パイオニアならではのデッキを作りたい、という人もいれば、僕のように手に馴染んだデッキをチューンナップして使い続けたい、という人も多いのではないでしょうか。

 

今回は、僕が過去のスタンで使っていたデッキをパイオニアに作り替えて遊んだデッキリストと共に、当時の思い出を語りたいと思います。

第1回は、僕が最初に友達と作ったデッキ「青単コントロール」を紹介していきます。

 

 

 

今回の思い出

 

今回の思い出は、僕がマジックを始めて間もない頃の話のシリーズで出した、青単コントロールです。

 

その記事がこちら↓

www.psstandardmtg.com

 

カラデシュ発売直後、コントロールデッキと言えば

「赤青電招」

が主流でした。もっとも、霊気紛争の発売前後に緑を足すことでより効率的にエネルギーを得たり使ったりできる、「ティムールタワー」になるんですけどね。

 

 

そのころの僕はマジックを始めたばかりで、プライベートでの転機もあり、とにかく懐事情がしんどい時で、1枚にかけるお金は300円まで。

 

そこで当時の友人と一緒に考え出したのが、「いっそのこと単色にしてしまう」というもの。今だったら他の色も候補に入れるところですが、打ち消しやドローこそがコントロールデッキだ、ということで青単のデッキになりました。

 

幸い、当時の青単コントロールには成功例がありました。それが《潮からの蘇生》をフィニッシャーにした「青単プリズン」というコントロールデッキでした。当時のリストがこちら↓

mtg-jp.com

 

 

カラデシュの発売と共にいくつかのパーツは失われたものの、青単最大の強みであるインスタントタイミングのオールバウンス、《岸の飲み込み》は今だに健在。これを元に追加のフィニッシャーである電招の塔を主軸とした「青単電招」が爆誕したのでした。

 

初めて友人と作り上げたそのデッキは、さすがに多色化できないためにカードパワーが心許なく、結局1000円を越える《氷の中の存在》を4枚揃える羽目に。

 

 

それからどんなに環境が動いても、一度はそのスタン環境で作れる青単コントロールを考察する、というのが僕のライフワークになりました。いつでも必ず持っているスタンデッキの一つは青単コントロールだったので、周囲からは「青単の人」と認識されていました。

 

そんな時期から3年の月日が経ち、《岸の飲み込み》たちはストレージの中で静かに眠りについていました。僕はというと色々な人にたくさんのことを教わっていく中で、アグロデッキをよく握るようになっていました。みんなで資産のない中で知恵を出し合い楽しんだ日々は、はるか遠い思い出になっていました。

 

そして、パイオニアというフォーマットが幕を開けたのです。

 

真っ先に「青単コンをもう一度作ろう」と思いました。

 

いやいやいや。コントロールは毎回考えていましたから、ドミナリアのテフェリーも、灯争大戦のテフェリーだって持っているんです。何故青単にする必要があるのか?

当時のように金銭的な理由があるわけではありません。

 

でも、自分の楽しかったあの時のデッキをどうしても作り直したかったのです。

別に弱くても構わんのです。当時を思い出しながら、うんうん考えながら、真っ青な手札を構えてターンを返したい。ただそれだけ。それで十分じゃないか。それだけで立派な理由じゃん。

 

そうして、まずは「青単」であること、そして「コントロールデッキ」にすること。

この2点からリストを作り始めました。

 

 

パイオニアナイズしてみる

 

スタンの青単コントロールを使ってきて思い知らされていることがあります。

 

それは、普通のコントロールと違い、青の2マナ単体除去は「破壊」ではなく「バウンス」が主体になるので、相手の手札は減らず、こちらの手札はどんどん減っていくというもの。打ち消しができれば初めて1:1交換になりますが、一度バウンスしたものを次のタイミングで打消し、という流れでは1枚の対処のために2枚のカードを使うことになってしまいます。

 

これを解決するために、当時は《電招の塔》や《機械医学的召喚》などといった「何かを唱えることでボードアドバンテージを得られる」置物を設置して、相手とのアドを埋めるものを採用していました。

それでも、当時のスタンですら、「3ターン目に電招の塔を立てて丸腰でターンを渡す」というのがものすごいテンポ損になって殴り切られてしまうことが多かったので、2ターン目と3ターン目はしっかりと相手の勢いを削がなければならず、電招の塔を設置する5ターン目には自分の手札が虫の息、ということもしばしば(コントロールの名折れにもほどがある)。

こうなるとせっかく設置しても呪文を唱えられずにアドバンテージは得られません。

 

さすがに当時のスタンと違って、パイオニアでは2マナ3マナのスペルに優秀なものがたくさんありますが、同じような構成では当時よりも速いデッキがゴロゴロいるような環境では勝負になりません。

 

そこで再度、先ほどの青単プリズンのデッキリストに立ち返ってみることにしました。

 

ん…?

 

《一日のやり直し》…??

 

ということは?

 

 

 

コイツじゃね??

 

 

これで相手は戻したカードを引けなくなるので、バウンスを使って相手の手札に押し込めた脅威は全てデッキに戻っていきます。

そして同時にこちらは手札を一気に補充でき、相手の手札を1枚にすることができます。

何よりナーセットは普通に立ててマイナスを起動するだけでも手札のロスを無くせる上に、2回起動できれば結果的に2ドローと同じ。相手がナーセットを殴ってくれば延命もできる。

 

 

《一日のやり直し》を撃ってからは《ガイアー岬の療養所》を相手のアップキープに起動することで、相手の手札をロックして勝ち。これができれば強力な勝ち筋になるので、電招の塔の代わりはナーセットとのロックコンボでよさそう、ということになりました。

 

 

さらに、相手のライフを削り切る手段としては、これまた使い慣れた《奔流の機械巨人》を使うことに決めました。打ち消しとバウンスとドローを使いまわしつつ殴り切ることができるため、アドバンテージ源としてかなり優秀です。

 

そして使い慣れたカードの中に、コントロール能力を高めつつ《一日のやり直し》の枚数を増やせるカードがありました。《暗記+記憶》です。

 

 

この「余波」という能力を持った分割カードは、通常時は上半分を使用して、墓地に落ちた後に下半分を唱えて使う事ができるというものでした。

見て頂くと分かる通り、このカードの下半分(記憶)は「一日のやり直し」と同じ手札リセットのソーサリーです。なのでこれには、スタン当時にも使っていた小技があります。

 

 

「《奔流の機械巨人》で墓地の《暗記+記憶》を対象に取って、モード選択で記憶を選択して唱えることができる」

 

 

というもの。《奔流の機械巨人》は「インスタント・カード」を対象に取るので、《暗記+記憶》を対象に取れます。そして、唱えるに際して分割カードのどちらを唱えるのかのモード選択に入るのですが、余波は墓地からならば唱えられるというものなので、そのまま機械巨人の能力で記憶を唱えることができるのです。つまり、瞬速を持つ機械巨人のおかげで、なんとインスタントタイミングで記憶を唱える事ができるようになります。

 

ということは。

 

ナーセットをコントロールしている状態でターンを返し、対戦相手のドローステップの後、メインフェイズの前に《奔流の機械巨人》を唱える→墓地の記憶を唱える→相手の手札が0枚になる!!!

 

こいつは画期的です。完全にちょっと万能な打ち消し兼バウンスのカードと見せかけて、実はしっかりと即死コンボのパーツとして機能する…気づかなければ対処されないし、手札の枚数も一気に逆転するぞ!

 

とはいえ、3マナで使える《一日のやり直し》の方が流石に強いよねぇ。

 

そう思いました。

そう思ったのですが。

 

 

何度か友達と回して気づいたことがありました。

 

たしかに、自分のターンに使うことで相手の手札は1枚になるのです。なるのですが。

 

 

ターンを渡すと相手がドローして、2枚になるんですよね(当たり前

 

 

その2枚が両方ともとんでもない脅威だった場合は、残ったマナで相手の2アクションを捌ききらないとギリギリで詰められて負けてしまうのです。結果的にそれが敗因で勝ちきれない事が多かったのです。流石にここまで大がかりな仕込みをして勝てないというのはいただけないにもほどがあります。

つまるところ、他の構成要素が青単であるが故に貧弱なため、インスタントタイミングで撃てなければ強力な勝ち筋にはならなさそうだということがわかりました。

 

というわけで、《一日のやり直し》はあえて採用せず、完全にコントロールデッキとして振舞いながら、単純に《奔流の機械巨人》などでビートして倒すもよし、記憶とナーセットでコンボを決めて相手を完封して勝つもよし。という構成になりました。

 

 

それでは前置きが長くなりましたが現在のデッキリストです。

 

デッキリスト(2021/1/7現在)

 ( )内はマナコスト、カード名の後ろが枚数です。

 

*クリーチャー 5

(2)//(3) 厚かましい借り手 3
(6) 奔流の機械巨人 2

 

*呪文 32

(4)/(6) 暗記+記憶 3
(1) 選択 3
(2) 検閲 3
(2) 非実体化 1
(2) アズカンタの探索 1
(3) 覆いを割く者、ナーセット 3
(3) 神秘の論争 1
(3) 悪意ある妨害 4
(3) 不許可 1
(4) 岸の飲み込み 3
(4) ヒエログリフの輝き 1
(5) 霊気渦竜巻 1
(6) サメ台風 2
(8) 時を越えた探索 2

(2)//L ベイーンのヴェール/ベイーンの沿岸 2
(3)//L シルンディの幻視/シルンディの島嶼 1

 

*土地 23

 17
爆発域 2
ヴァントレス城 1
神秘の聖域 1
ガイアー岬の療養所 1
屍肉あさりの地 1

 

*サイドボード

(2)//(3) 厚かましい借り手 1
(2+x) 幻惑の旋律 2
(2) サイクロンの裂け目 1
(2) 氷の中の存在 3
(2) 漸増爆弾 1
(2) アズカンタの探索 1
(3) 神秘の論争 3
(3) 夢を引き裂く者、アショク 1
(5) 霊気渦竜巻 1
(6) サメ台風 1

 

 

現状の構成のいいところ

 

何よりスタン当時と違うのが、バウンス呪文の質です。

 

《厚かましい借り手》はバウンスとして機能するだけでなく、瞬速の飛行クロックとして機能します。2枚並ぶと6点クロックになるため、ほとんど勝ちになった後に決め切るのに時間がかかっていたスタン当時と違い、数ターンで決着がつくので本当に驚きます。

何よりこのデッキの代名詞と言える《岸の飲み込み》との相性がとても良く、手札に返ってくることで再度バウンス呪文として構えることができます。手札次第では借り手と打消し呪文を使ってクロックパーミッションのような挙動で勝つこともあります。

 

 

打ち消しについても《悪意ある妨害》が当時からするとかなり優秀です。次のドローを確認してコンボパーツや妨害呪文を探せるだけでなく、墓地に落とすことで《時を越えた探索》の探査コストに当てることができます。

 

 

そして何よりこのデッキを勝ちに導いてくれるカードが《サメ台風》。

ナーセットロックを決めれば確かに勝ちなのですが、このデッキの本質はコントロールです。しかし殴り始めるタイミングを「完封してから」に限定する必要は一切ないので、適当なタイミングでサイクリングしてクロックを始めてしまえば、守り切るだけで勝てる勝負があります。何より1枚で2枚に対処できるタイミングもかなりあるので、本質的にアドバンテージ差がつきやすいこのデッキにおいては本当に救世主のような存在です。もちろん《電招の塔》と同じように設置してしまうことで勝ち筋にできます。《時を越えた探索》を唱えた日には8/8のサメを出せます。

 

 

ごく最近のアップデートとして1番有難かったのがこちらの2種3枚の土地(ではないけど土地としていれているもの)。

 

《ベイーンのヴェール》はたった2マナで横並びのアグロデッキから1ターンのテンポを貰うことができます。単体バウンスで頑張っていた当時とは雲泥の差。《岸の飲み込み》まで間に合わない相手に対しては本当に重宝します。必要のない相手には土地として置いてしまえばいいので、どうしてもアンタップインの土地を引きたい時以外は腐りません。

《シルンディの幻視》はドローや打消しにアクセスできるカードとして地味にいい仕事をしてくれます。もちろん3マナとやや重いので積極的に採用するカードではありませんが、タップインの青マナ土地に付いているオマケとしてはかなり優秀です。《岸の飲み込み》が島を参照する関係上で島にしてもいいのですが、あまりに島だらけでも何もできないので、1枚だけの採用としています。

 

サイドボードは適宜、相手の戦略に応じて必要なものを投入します。

アドバンテージ差で勝つ必要がある相手にはサメ台風を増したり、勝ち筋がトークンだったりマナが安くて高いスタッツのクリーチャーだったりする場合には《幻惑の旋律》を入れます。ただし《時を解す者、テフェリー》だけは絶対に通してはいけないので、サイド後に《神秘の論争》を4枚に増すことができるようにしています。

 

 

まとめ

 

今回は思い出の青単コントロールをパイオニアにしたものをご紹介しました。

 

やはり独自の構築なので、新しいエキスパンションが出るたびに細かいアップデートを自分でいじって試すことができるのは楽しいもので、最初に作ってから1年ほど経ちますがたくさんの発見があります。

 

コレって勝てるの??と言われると、勝てる時は勝てますし、勝てない時は勝てません。コンボに極振りしているわけでもないので、コンボがたくさん決まるわけでもありません。フリープレイでの体感ですが、作った当初よりはかなり勝てていると思います。基本的には初見殺しなので、相手の意表を突ければだいたい勝っている気がします。

 

今のところ、5Cミゼットには微有利(ただしテフェリーで詰み)、赤系のスライには不利、青白コントロールやバントスピリットには不利、スパイには有利、と感じますが、試行回数は少ないのであまりアテにならないかもしれません。

 

あくまでこのリストは僕の手に1番馴染む構成だと思っているので、支離滅裂なところもかなりありますが、ぼくはこれが好きで使っているのでかなり楽しいです。これからも僕の手に馴染むようにアップデートを続けていくつもりです。

 

みなさんも思い入れのあったスタンダードデッキを自分なりにパイオニアに落とし込んで遊んでみてはいかがでしょうか?

 

それではまた!