こんにちは!ぷろすたです。
先日発売されましたWIZZ90号はもうお手に取っていただけましたでしょうか?
今回も90号の発売に合わせまして、89号で寄稿した
『自分なりのデッキの作り方』
の第2回をweb版でお届けします。
88号で寄稿しました第1回のweb版はこちら↓
記事を執筆したのがテーロス還魂記の発売直後だったので、例に出しているものが古くはなっていますが、僕がデッキを作る際の基本的な考え方は変わっていません。
続きの第3回は6/5に発売されましたWIZZ90号で読めますので、ぜひ購入してお読みいただければと思います!
晴れる屋、Cardshop Serraの通販サイトで購入できます!
その他の購入できる店舗はWIZZ公式ホームページか、編集長の公式ツイッターをチェック!
では、お楽しみください!
ごあいさつ
こんにちは!ぷろすたです。
デッキは自己表現の方法の一つとなり得る、と僕は考えています。
その上で、自分の相棒となる生き物(デッキ)の背骨(コンセプト)を決め、殺傷力(勝ち筋)を持たせることが必要になる、という話を前回させていただきました。
今回は背骨、殺傷力に続き、どういった「肉付け」をしていくのかという話をしていきます。
肉付けとは?
例えば前回、強力な背骨の例として、エルドレインの王権発売後の禁止改訂前で猛威を振るったスゥルタイフードを例に挙げました。
《王冠泥棒、オーコ》、《金のガチョウ》、《魔女のかまど》、《大釜の使い魔》、《意地悪な狼》という5種、最大20枚もののカードが食物というコンセプトで繋がっていました。デッキの大半を占める枚数ですが、もちろんそれだけではデッキになりません。
仮に土地を24枚としても、残り16枚以上をどういったカードで埋めるのか?ということが必要になってきます。この作業こそが肉付けとなります。
これだけでは相手が展開する脅威に対抗できないため、ここにミラーマッチにおいて必須の除去である《害悪な掌握》、除去兼追加クロックになる《残忍な騎士》が追加されているもの、さらにデッキの挙動を安定させるための《むかしむかし》と《パンくずの道標》も追加されてスゥルタイサクリファイスというデッキになっていました。
一方、サクリファイスを用いないスゥルタイフードでは、青緑の強力なフィニッシャーでありドロー源として、《ハイドロイド混成体》が使用されていました。
さらに《ハイドロイド混成体》をより大きなサイズで出すことを可能にしつつ、自身もクロックを展開できるカードとして《世界を揺るがすものニッサ》が入り、強力にゲームを終結に導く構成になっていました。そうすると軽いカードではなく大型のアクションで勝負を決めに行く展開になるので、《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》を外し、《成長のドルイド》と《金のガチョウ》で高いマナ域にアクセスし、1枚で複数の脅威に対処できる《戦争の犠牲》につなげて一気に勝負を決めるという構成になっていました。
もちろん挙げたのは一例なので、すべてが一様にこうだったわけではありません。言いたいことは「こんな感じで脇を固めるカードを選定していく」ということです。
肉付けの方針の決め方
想像してみてください。
あなたは今、パックから引き当てた《夢さらい》2枚を勝ち筋にしたスタンダードデッキを考えています。
前回のコンセプトと勝ち筋の話から、デッキの構成をいくつか考えてみましょう。
まずは以下の二つ
- コンセプト→《夢さらい》を使った何か
- 勝ち筋→《夢さらい》での攻撃を含む
というところが決まります。
このコンセプトの「何か」というところをどうするかになりますが、それを決めるためにはまず《夢さらい》というカードがどういうカードなのかを考えていかないといけません。
まずはどういった要素がこのカードにあるのかを分解していきます。
- 6マナで青青白白→重い上に色の縛りがきつい
- タフネス5→固くて比較的死ににくい
- カードを1枚捨てると呪禁になる→死ににくい上に除去が当たらないが、そのためにはカードを消費する
- 攻撃すると1枚引く→呪禁をつけるためのカードを自分で供給できる
- カードを引くとパワーが上がる→ダメージを与える前にカードを引くと大ダメージ
- 飛行を持っている→ブロックされにくいのでダメージを与えやすい
- 絆魂を持っている→ライフを回復できるので攻撃し続ける限り敗北が遠のく
何度見ても強力な勝ち筋になるカードですね(笑)
まず①に着目すると、まともに出るのは最速で6ターン目、ランプ手段をゴリゴリに用いてもよくて4ターン目?というところになります。
確かに強力なカードではありますが、《夢さらい》だけのためにランプ手段を用いる、ということはそのためにカードを複数消費することになります。なので《夢さらい》を出すと同時に手札が無くなった、なんてことになると③を使えないので簡単に対処されてしまう可能性があります。そのため、その前にカードを補充する手段など、手札の枚数をある程度確保する工夫が必要でしょう。
同様に、⑥に着目して序盤から飛行クリーチャーをたくさん並べるような青白のデッキに入れるとなっても、そこまでの挙動でカードを使い切っている可能性が高いので、カードを捨てて夢さらいを守るという動きが難しくなります。他の飛行クリーチャーが1〜3マナばかりなのに対して、これだけが6マナ、というのは「連打する」という動きに対して矛盾しまいます。
そうして逆算していくと、やはりよく見るような、重いミッドレンジ〜コントロールといった重速型のデッキにマッチしているカードであるということが見えてきます。この文章を書いているイコリア発売前の段階では、このカードが使われているのはバントランプや青白コントロール等の重速デッキが多くなっています。
このように、どういった部分に目をつけて構築するのか、ということを意識して肉付けをしていく必要があります。
そして、今回の骨には少々厄介な部分があります。
骨が足りないなら肉で補う
今回の「《夢さらい》を使った何か」というコンセプト(骨)では、背骨になるカードが《夢さらい》のみとなっています。
骨の数が少ないので、このままでは軟体動物になってしまいます。
しかし、軟体動物になってもいいのです。何故なら、軟体動物には強力な筋肉がありますからね。十分強い生き物が生まれるでしょう。
というわけで、今回付けていく肉としては、大きく分けると2種類になります。
一つ目は、体を動かす為の「肉」。もう一つは、骨に近いような役割をする「スジ」です。
先ほど挙げた7つの要素を総合すると、こいつを強く使う為には①と③が課題になります。これら二つをクリアしなければいけないということは、ここを補うカードこそが「スジ」の部分になる、ということです。
そして肉の部分でスジと背骨を補強していくことになります。
では①と③をクリアする為のスジとは、どういうものでしょうか?
この答えの一つが「カードを引く」ということでしょう。
カードを引けば土地が止まらずに置ける確率が上がりますので、①をクリアできます。加えて、手札を補充することができますから、③もクリアします。
具体的にカードを挙げると、《海の神のお告げ》や《意味の渇望》などのカードは、必要なカードを探しに行ったり、手札の枚数を増やしたりことを可能にします。この動きがこのデッキのスジですね。
しかしカードを引くだけでは、相手に序盤からやりたい放題させるだけになってしまいますので、相手の猛攻を凌ぐ為のカードが必要となるでしょう。この部分を肉で補っていきます。
具体的には全体除去の《空の粉砕》や、相手のカードを追放する《払拭の光》、《エルズペス、死に打ち勝つ》といったカードがその役割の最たるものでしょう。
そして、スジと肉の両方の役割を担うカードもあります。
《メレティス誕生》は土地を確保することで手札の枚数を維持できますし、壁を出したりライフを回復することで肉に近い役割をします。
同様に《時を解す者、テフェリー》も相手のカードをバウンスしてテンポを稼ぎつつ、カードを引くことができます。戻すものを《海の神のお告げ》にすればもう一度ドローができますし、《エルズペス、死に打ち勝つ》を選べば相手のクリーチャーを捌くことができます。
そうして背骨である《夢さらい》を維持して攻撃を始めることができれば、ほとんど勝ったも同然になるでしょう。
このように「ストーリーを意識した肉付け」ができると、カードの選定や枚数の検討が容易になります。
そうして出来上がったデッキを想像すると、所謂「青白コントロール」というデッキに近いものになっていますね。
あくまでこれは肉の付け方の一例になりますので、晴れる屋のデッキ検索などで探してみると、いろんな形の《夢さらい》を使ったデッキを見ることができるでしょう。
次回は、ここまでの工程の後に必須となる「サイドボードの構成とトライアンドエラー」について書いていこうと思います。おたのしみに!
おわりに
いかがだったでしょうか?
続きは最新号のWIZZ90号で読むことができますので、ぜひ手に取ってみてください!
お求めは、晴れる屋、Cardshop Serraの通販サイトで!!
その他の購入できる店舗はWIZZ公式ホームページか、編集長の公式ツイッターをチェック!
ではまた!