前回はこちら↓
前回のあらすじ
みんなでデッキを考えたぞ!
自分だけで作ったデッキよりちゃんとしたデッキで、なおかつ珍しいデッキで楽しいデッキだったので、あっという間にお気に入りになったぞ!
これで大会たくさん出るんじゃー!
ローグデッキの集団に遭遇した話
カラデシュが発売されて少し経った頃、フライデーナイトマジック以外で毎週行われる新しい店舗大会が始まりました。
ご存知、「スタンダードショーダウン」です。
この頃のショーダウンパックはとても豪華で、現在は4枚封入なのに対して3枚なのですが、「Zendikar Expeditions」と「Kaladesh Inventions」、つまり今はもうないマスターピースシリーズが1/33の確率で封入されている(本来のパックは4ボックスに1枚)、というものでした。
それなら行くっきゃねぇよなぁ?ということで僕も参加しました。
いつも行くお店のショーダウンに参加してみると、見たことのない人たちがちらほら。
2回戦はその中の一人の方と当たりました。
その時の僕のデッキは前回紹介した青単コントロール。
お相手は・・・黒単!?
当時の環境は「青白フラッシュ」と「緑黒昂揚」の2大デッキ、そして「赤青電招」がいました。今のスタンダードだと、アリーナの影響かモダン並みにたくさんのデッキが出ていたりしますが、この頃はそうでもありませんでした。
概ね、大会に出て出会う、強いなと思うデッキは2〜3種類のもんです。なので。
そんな中で単色デッキ同士が対戦!?!?!?
という感じでしたw
しかも、他の仲間の人たちまで、僕がよく知らないデッキを使っていました。
いわゆる「ローグデッキ」使いの集団だったのです。
試合にも勝負にも負けて衝撃を受けた
メインはなんとか勝利するも、黒単らしくサイドボードからはコントロール対策を徹底的に喰らい、敗北。
その頃の僕はあまりにも決定打に欠けるコントロールになっていたため、泣く泣くこのカードを4枚購入していました(当時1枚1300円)。
今ではモダンのイゼットフェニックスなどに使われる、『氷の中の存在』。
カウンターが全てなくなると変身して裏面になり、変身するとホラーでないクリーチャーを全て手札にバウンスするというカードです。その上序盤はタフネス4で守りも硬く、変身すると7/8のワガママボディという、コントロールデッキにはとても役に立つカード。
これでも当時のコントロールデッキには必須だった奔流の機械巨人よりは安かったので、これを使うことにしたのでした(今ではこっちの方が遥かに高いですがw)
さらに変身したこいつをこの土地(当時150円)でカサ増しするという作戦。これが入れられるのも、青単であるが故にできるものでした。
高いカードをそれまで買わなかった理由は前のシリーズで書いた通りですが、僕は結局「高いカードの高いカードパワーで蹂躙されることに耐えられなかった」のです。
それでも根本的な弱さを完全に拭い去ることはできず、いつも成績は中の下。
しかし、2回戦で当たった黒単デッキには、見た限りで1000円を越えるカードは入っていませんでした。
つまり、僕が思い描いていた「高いカードを使わない構築」になっていました。
なのに、その方はこの大会で優勝したのでした。
僕は衝撃を受けたと同時に、恥ずかしくなりました。
「僕は耐えきれずに高いカードを買ってしまって、使っていたのに、この人には勝てなかった」
しかし、この体験は悔しかったと同時に、僕にとっては希望でした。
高いデッキを使わなくても優勝はできるんだ、ということを目の前で見せられたのですから。
何より、その人たちはみなさん揃って、自分のデッキを自分で一から考え、自分で練り上げて持ち込んで、心の底からそれを楽しんでいるように見えました。
自分が理想として追い求めたマジックとの向き合い方の形が、そこにありました。
試合のあと、その一団の中のお一人からお誘いをいただきました。
「あなたのデッキも個性的ですね!今度こちらのホームに遊びにきませんか??」
僕には是非に、という以外の答えはありませんでした。
早速翌週、遊びに行ってみました。すると本当に個性的なデッキだらけ。
より強くするためにはどうしたらいいか?たくさんのアドバイスをもらえました。
新天地で学んだことは、もっと大きかった
それから数ヶ月、そのお店には週に2回以上通いました。職場からさらに先へ行くような場所(今まで行っていた方面とも逆側)だったので、それまでの仲間のTくんやYさんと遊ぶ機会は少し減りましたが、TくんやYさんも時々遊びに来てくれました。
そのお店では、常連さん同士でLINEグループを作っていて、その人数はなんと30人前後。いつも活発に会話をしていて、話題もプレイングから構築、プライベートな仕事の話に至るまで、多岐に渡っていました。
しっかりPPTQ(プロツアー予備予選)に向けた調整をしている人や、自分が追い求めるローグデッキを延々と研究し続けている人など色々な人がいるということがわかりました。向き合い方もそれぞれ。お金のかけ方もそれぞれ。
しかし、お互いの向き合い方に特に干渉することなく、相手の大事にしていることを尊重して、それに即したアドバイスや相談がされている印象でした。
互いに事情をある程度理解して、互いに顔がわかっているからこそできることなんですよね。
この「お客さん同士の距離が近い」ということが、このコミュニティの強さなんだろうな、ということがわかりました。
みなさん、その地域に住んでいたり、職場や学校がその近所だという人たちだったので、「その地域でマジックをやっている人」というつながりだったんですね。それゆえにプライベートな話もお互いにできるということなのでしょう。
この距離感やお互いに尊重する姿勢、新しく来た人を暖かく迎えることが出来上がっているコミュニティは、僕がサバゲーの副隊長をしていた頃から思い描いていた
「僕の理想とするコミュニティ像」
だったのです。
これによって、TくんやYさんと遊ぶ以外の「いろんなお店に行く」ということのハードルが自分の中で大きく下がったので、職場までの道のりの中間である立川駅周辺のお店にも出向くようになりました。
初めてその集まりに行き始めてから数ヶ月後、僕はさらに新天地を見つけます。
その話はまた次回。
いろんなところに行ってみることが大事
僕はそれまでのいろんな嫌な体験を通じて、マジックへの向き合い方の近い「TくんやYさんと一緒に遊ぶこと」をマジックを遊ぶ上での最優先にしていました。
いわば引きこもり状態です。
TくんやYさんの存在はまさに「地獄に仏」でした。優しくいろんなことを教えてくれる人もいました。
しかし、その場所が僕にとって地獄であることには変わりはなかったのです。
実際のところ、僕が引きこもりだったのは、立川駅周辺のお店や、Tくんと一緒によく行っていたお店では「向き合い方が近くなければほぼ相手にされなかったから」です。
これをあまりにも色濃く出されてしまうと、その中に入っていくのは本当に難しいですよね。
めちゃくちゃ本気のデッキしか使っていない人たちの中に、ウェルカムデッキに毛が生えた程度の人が入っていくのは当然難しいですし、逆にカジュアルにワイワイやっている人たちの中に、競技レベルの大会で優勝することを目標にした寡黙なプレイヤーが入っていくのは本当に難しいでしょう。
「じゃあもうあそこには行かない」
って思ってしまいますよね。
でも、そこに来ている人たちの中にも、同じような向き合い方の人はいるかもしれません。
すごく強く見える人も、長く続けて勉強を重ねたからすごく強いように見えるだけで、スタート地点はあなたと同じで、あなたのことを誰よりも理解してくれる方かもしれません。
つまり、「話してみなけりゃわからない」んです。
だから、まずはコミュニケーションを取ってみてほしいと思います。
もし話してもダメで、本当にそのお店には行きたくなくなったら仕方ないです。
でも、それでマジックを嫌いになっちゃうのは本当にもったいないので、
嫌なことがあるなら環境を変えて他のお店を探してみてください
向き合い方が近い人だけで構成されるコミュニティばかりではありません。あなたにとって理想に近い場所が、どこかにあるはずですよ。
なければ最悪作るだけですが、その話は次回にしようと思います。
まとめ(エール)
昔の僕みたいに、中途半端に居心地のいい場所に立ち止まっていませんか?
我慢することなんかないんです。今はいろんな向き合い方があるんです。
本当に一歩も外に出たくなくなれば、アリーナをやるのもいいでしょう。
でも、外に出れば、誰かとつながることができれば、楽しい場所がどこかにあるかもしれません。その可能性を捨てるのは、絶対的にアド損です。
あなたにとってのいい場所が、見つかりますよう祈ります。