こんにちは!
今回はtwitterで反響のあった「デッキの作り方」を紹介していこうと思います。
基本的に大会で結果を残したりなどはしていない僕ですが、基本的には自分の作るデッキは自分で一から考えるようにしているので、今回のツイートでたくさんの方から反応があったのは正直に言って意外でした。
なので僕が普段デッキを考える時の過程を今回の記事では書いていきます。
作例として最近考えているクソコンボ搭載のクソネタデッキを、僕が作る手順に照らしつつ、作っていった過程を書いていきます。
長くなると思うので、今回紹介した各手順の詳細なところは次回以降に詳しく書いていこうと思います。
「お前のクソデッキの話は興味ねーよ!」という人のために各項に小見出しをつけてますので、そういう人はその下を飛ばしてお読みくださいw
①コンセプトと主要な動き(ストーリー)を決める
何はともあれ、まずはこれをしっかり作ることが大事です。
ポイントは、「何で勝つのか?」を明確にして、「やりたいことを決める」ことです。
このデッキは何をしたいデッキなのか?というところが定まっていない状態で、ただ何となく強そうだから、というカードを入れると、やりたいことと全然噛み合わないカードだった、ということが起こります。
これが一番デッキを弱くする原因になってしまったり、長々と回しても一向に勝ち筋にたどり着けなくなってしまったりします。なので、この部分は明確であればあるほどデッキを作るのが楽です(ブログの記事もそう)。
逆に、使いたいカードやコンボが定まっている場合は、そのカードやコンボが持っている要素をしっかりと分析することから始めましょう。
今回のクソデッキのコンセプト
というわけで、今回僕が作るデッキのコンセプトはこちら。
名付けて『絶滅祈祷コンボ』!!!
「真火の隊長」を「絶滅の星」の全体20点に巻き込ませると、20点ダメージを受けた「真火の隊長」の能力が誘発し、対戦相手に20点ダメージを飛ばして勝つ、というのがこのコンボの基本。
しかし「真火の隊長」を設置して「絶滅の星」を解決させようとすると瞬間的に11マナが必要になります。
そこでこれを解消するために「太陽鳥の祈祷」を設置します。
「太陽鳥の祈祷」は、手札から何かを唱えた時、そのマナコスト分の枚数のデッキトップを公開し、それ以下のマナコストのカードを唱えられるというエンチャントです。
つまり、6→7ターン目で「太陽鳥の祈祷」→「絶滅の星」と動くと、「絶滅の星」の解決前に「太陽鳥の祈祷」の能力が誘発してトップ7枚が公開されます。その中に「真火の隊長」があれば、それを唱えて戦場に出します。そのあとに「絶滅の星」が解決されるので、対戦相手に20点ダメージが飛ぶ、という寸法です。
スマートですねぇ(スマートではない)
ではこのコンボの内容を詳しく分析していきましょう。
①決まれば勝ち
→相手のライフが20を超えているとダメだが以下ならOK。
②「絶滅の星」の解決前に「真火の隊長」が除去されるとダメ。
→打消しに加え、スタックして除去されると通らないコンボである。
③「真火の隊長」以外のパーツが両方ともめちゃくちゃに重コスト。
→6マナの置物と7マナの全体除去はどう見ても軽いとは言えない
④「真火の隊長」自体がめちゃくちゃ弱いしコストが厳しい。
→単純な破壊呪文だと相手に何も飛ばないので除去耐性なし、難しい4マナ払って4/3だけってこれいかに。
⑤「絶滅の星」はPWをまとめて殺せる。ついでに「死者の原野」を壊せる。
→よく見たら土地が破壊できるね
⑥「絶滅の星」がダメージ除去なのでダメージ軽減か破壊不能があれば生き残る
→生き残りたちで無人の荒野を駆け抜ける勝ち方もアリか?
⑦「太陽鳥の祈祷」は定着すると凄まじいアドバンテージ源になる。
→手札から唱えればめくれ方次第でもう一枚唱えられる。占術とも相性良し。
ここまでの分析から考えると、「真火の隊長」以外の2枚はアドバンテージ源と全体除去なので、これらが自然と機能するデッキはどういうデッキなの?というところ。
そうなると重めのミッドレンジ~コントロールデッキということになるのでは?と考えました。コントロールデッキというのは、文字どおり相手の展開する脅威を捌いてコントロールし、相手がアクションできなくなった終盤に対処の難しいフィニッシャー1枚2枚で勝利するデッキタイプを指します。基本的には鈍重で長い勝ち筋を利用するデッキですね。
理由としては、このコンボ自体が「太陽鳥の祈祷」を経由せず重いコストで唱える可能性も高いというところから、序盤はマナを蓄えたりする動きをしつつ全体除去で盤面をコントロールしてコンボまで耐える必要があると考えました。
ただ、「真火の隊長」をコントロールデッキのフィニッシャーにするのはさすがに弱いと思います。除去耐性もない、タフネス5を超えられないカードで5回攻撃を通すのはどう考えても無理というものです。そこで追加の勝利手段を何かしら用意したいです。全体除去である絶滅の星がダメージ除去なのを利用して、破壊不能をつけられるものを利用するか、出るだけで最低限の仕事は果たしてくれるようなカードがいいでしょう。これらを使ってビートして20点を削りきるか、コンボを決めて一撃必殺、というのが僕が考えるコンセプトになりそうです。
ということで今回のコンセプトは
「打ち消しを持たない除去コントロールのデッキとして序盤は振る舞い、途中でドローエンジンを着地させてコンボを決めるか、相手をコントロールしてからビートで決める」
ということにしました。
②その動きに合ったカードをリストアップする
コンセプトが決まったら、次はそれを満たしてくれるカードを探しに行きます。
カードプールを完全に把握していることがベストですが、なかなかそうはいきません。
そこで、僕が用いているのはこちらのカード検索です。
テキストの検索欄に相性が良さそうなキーワードを入れて検索してみたりとか、マナコストと色で絞り込んだりして検索してみると良いです。公式のカードギャラリーとにらめっこして探してみるのも良いでしょう。
序盤を耐えて決める、最悪の場合サイドからコンボは諦める
さて、今回のデッキに確実に必要なのは軽い除去です。赤と白で取れる軽い除去はとりあえず火力呪文ということになりますが、単体ずつで対処していてもキリがないです。何よりこのデッキは盤面をコントロールするデッキなので、最も重視すべきはカードアドバンテージとボードアドバンテージ。そうなってくると全体火力の追加が望ましいですね。となるとまずはコレ。
全体3点なので複数枚並んだ相手に対して確実にアドバンテージが取れるのは大きそうです。
それに加えてコンボパーツを探したり、必要な除去を持ってくるためのエンジン、さらに重い呪文を唱えやすくしてくれるカードとしてこんなものがありますね。
最近ではあまり見なくなったカードですが、それは逆に言えば安く買えるチャンスでもあります。
実際このカード自体はスタン落ちの後はカジュアルEDHなんかに突っ込んでも良さそうだなと思っていたので痛手はほぼなし。
後は追加のフィニッシャーですが、これだけ重いコストのものをバンバン唱えるならやっぱ勝負が決まるPWなんか良いよね!6マナチャンドラとか!と思ってみるも「絶滅の星」で即死してしまうので無理。
いろいろ見ていると出てきたのが
「自分のターンならダメージ受けんし破壊されないんやで」
お前、俺はもう死んだから絶滅しないなんて言いたいのか?(ストーリー参照)
絶滅の星を打つのは確実に自分のターンだけです。しかもこいつ1体で殴りかかってもよし、プラスで「真火の隊長」を強くするもよし、マイナスで除去としても使える。めちゃくちゃ噛み合うやんこいつ。
そして「太陽鳥の祈祷」でコンボするならデッキトップをいじることで確率が上がりますね。となるとタダで大量にデッキトップを弄れるフィニッシャーがあるといいかもしれません。例えばこんな。
5マナなので6→7のこのコンボの前に出しておくのも楽しそう!サイズとしても申し分がないので追加のフィニッシャーにもなります。あとは出るだけで少なくとも仕事はしてくれるのがこちら。
ということで黒が加わりました。
実際のところ、このデッキの動き自体は青系コントロールに対してかなり弱い構成なので、サイドボードからハンデスを搭載する関係を考えても理にかなっています。
基本的にコントロールデッキというのは「カードの枚数」で勝負を仕掛けることが本質です。
この部分で古典的なコントロールには大きく分けて2種類があり、自分がドローすることでロングゲームに持ち込んで勝つものと、相手に手札を捨てさせて機能不全に陥らせるものがあります。前者の代表格が青系コントロールで、後者は黒系のハンデスデッキです。
つまりメインボードで分が悪いコントロールデッキに対して滅法強いハンデスをサイドからフルで投入すると勝ちやすくなるよね、ということです。その場合は流石に一撃必殺は絶対に通らないので、諦めて盤面を処理しつつハンデスで苦しめてフィニッシャーで勝つ、という形にシフトしていきます。
ということで黒が追加されて候補にあがるものはこんな感じ
このほかに当たりを引きたいときに引く確率が上がるよう、デッキ圧縮できるようなものがあると良さそうですね。確実なハズレは土地になるので、任意のタイミングで圧縮できるようなカードとなるとこちらでしょうかね。
これならスケープシフトにも少し対処しやすくなるかもしれません。
③必要なものと必要な枚数を考える
ここから必要なものと必要でないもの、そして必要な枚数を詰めていきます。
何を何枚採用するのか?という話についてはまた別の記事で書けたらと思います。公式の記事やいろんな人が解説した参考になるものがあるので、調べてみるといいですよ!
ちなみに僕が最初に読んで参考になったのはこちらの記事シリーズです
4枚採用↓
フォーカード|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
3枚採用↓
三人寄れば|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
2枚採用↓
二つで十分|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
1枚採用↓
一つは全てのために|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
次回以降のどこかで実際に僕が枚数を決める基準や構成を決めるときに考えていることは書いていこうと思いますが、実際にはこの段階での枚数決定は間違っていた、ということの方が多いので、あくまで参考程度だとは思います。しかし知っておくと人のレシピを見るときに『何を考えてこの枚数を採用したのだろう』ということを考えるヒントになります。ぜひ読んでみてください。
そして産声をあげるクソレシピ
さて、今回のデッキは鈍重なデッキです。なので土地の枚数は26枚は欲しいところですね。
土地の枚数の決め方に関しては過去に書いた記事があるのでご参考まで。
あとは他のカードを足したり引いたり削ったりしたところ、こんなリストになりました。
《絶滅祈祷コンボ》
*クリーチャー 7
(4) 真火の隊長 4
(5) 破滅を囁くもの 2
(6) 悪魔王ベルゼンロック 1
*呪文 27
(2) 喪心 2
(2) ヤヤの挨拶 3
(2) 宝物の地図 3
(3) 屈辱 3
(3) 魔性 1
(3) 轟音のクラリオン 3
(3) 黒き剣のギデオン 2
(4) ヴラスカの侮辱 2
(6) 太陽鳥の祈祷 4
(7) 絶滅の星 3
*土地 26
凱旋の神殿 3
静寂の神殿 2
聖なる鋳造所 4
血の墓所 3
神なき祭殿 4
断崖の避難所 2
孤立した礼拝堂 2
竜髑髏の山頂 1
廃墟の地 2
山 1
沼 1
平地 1
サイド
(1) 強迫 3
(2) 丸焼き 2
(2) アルゲールの断血 1
(3) 焦熱の連続砲撃 1
(3) 血染めの太陽 2
(3) 侵略の代償 2
(3) ベナリア史 3
(5) 炎鎖のアングラス 1
サイドボードに関しては最近流行りのスケープシフト対策を積みました。
そして対コントロールデッキのサイドボードを10枚用意してあります。
「ベナリア史」の部分普通のデッキであれば「軍勢の戦親分」を採用するところですが、全体除去を撃ったときに跡形も残らないということになるよりは、出してから2体目が並ぶまでにタイムラグがある「ベナリア史」にしてみました(ちなみに、だいたいこういうところが試してみてからいらねぇ!ってなります)
「ヤヤの挨拶」は、当初は溶岩コイルを考えていましたが、4点と3点の違いでインスタントになれることと、3マナで確定除去もあるし占術もできるので試しに入れてみてもいいかな、という軽い気持ちです(
とまあそんな具合で、デッキリストはひとまず完成となります。
まとめとエール ~リストができたら~
あとは、とりあえず代用カード(所謂プロキシ)が入っていてもいいので現物を作ったら、まずは一人回しをしてみましょう。この時の目的は、自分の作ったストーリーやコンセプトに沿った動きができるかを確認することです。そこで改善点が出てきたら、都度調整を行います。
そのあとは実戦で調整していきます。最近はアリーナもあるので、新しいデッキは試しやすい環境ですよね(かと言って今回のようなクソデッキのためにWCは使いたくないでしょうけど)。
たくさん試して、たくさん調整して遊んでみてください。
そして一点、これだけは忘れないでもらいたいのが
「構築を考える時の最終目標はゲームに勝つこと」
ということです。
どうやって勝つのか?が盛り込まれていないものは「ゲームを終わらせる気がないもの」になるので、本気でぶつかってくる相手に対してとても失礼になる時があります。なので、ステップ①のコンセプトをしっかりと詰めて構築してください。
今回は僕が普段用いている作り方の流れを紹介しましたが、カードのチョイスや枚数の決定の部分については書ききれなかった部分がありますので、それは次回以降に書いていけたらと思います。
ここはどうしてこうなったの??などの質問がありましたら、twitterでリプライでもDMでも、ここにコメントでもいいので書いてみてください。個別にお答えするか、次回以降の記事の中に盛り込んでいきます。
逆に「こっちの方がいいじゃん!!」というアドバイスもお待ちしていますw
最後になりましたが、今回の記事を書くきっかけになった初心者の皆さんが自分のデッキを構築する助けになったら幸いです。
「勝てなければデッキじゃない」なんて言葉も聞いたことがありますが、僕はデッキを作るということは「自己表現の一つ」と捉えています。同じコンセプトのデッキを作っても、人によって採用するカードや枚数は様々で、この一つ一つを見て楽しむこともまた、マジックの醍醐味の一つだと僕は考えています。だからどんなに紙束と言われようと、ちゃんとゲームに勝つことを目的に作ればそれはデッキだと僕は思います。
そしてどうせ自己表現するなら、自分を上手に表現してみたいですよね。だから、たくさんやってみることが自分なりの方法やこだわりを見つける近道になると思います。
もちろん、構築は考えたくないからコピーデッキを握る、ということも否定はしません。しかし、僕が見つけたこの楽しみ方を知らずにいるのは、僕はもったいないなと感じてしまいます。
別に今回のリストのような「決まると思ってんの!?」みたいなデッキを作ったっていいんです。負けたっていいんです。勝つだけがマジックではないので、たまにはこういうアホみたいなこともやってみたらいいんです。楽しかったら、いいじゃない。僕はそう思います。
だから、たくさんの【楽しいこと】にチャレンジしてみてほしいと思います。
長々とお付き合いいただきありがとうございました!