こんにちは、ぷろすたです。
今回は一風変わったマジックの遊び方のお話。
先日のぷろすた会で、友人のセイカーさんが遊びにきてくれて、2人で簡単に楽しめるキューブドラフトの遊び方を伝授してくれました。
その名も”ホースマンドラフト(HousmanDraft)”。
その後東京MTGさんの配信をふらっと見に行った時にウィンストンドラフトなどの変わり種ドラフトの話をしていたので、「先日ホースマンドラフトというのを遊んだよ」とコメントしたらナニソレ!?と話題になり、せっかくなのでスタッフのノジマさんに体験してもらうべくセイカーさんと一緒に体験会をやってきました。
というわけで今回はレポ記事兼、おそらく日本初のホースマンドラフト布教ブログ記事です。
そもそもキューブってなに??
とか
ドラフトってやったことない!
という人もいらっしゃるでしょうから、その辺から説明していこうと思います。
始まりー
リミテッドの遊び方の一つ、「キューブドラフト」とは
"リミテッド"とは
まず、“リミテッド”というものが何かを説明しましょう。
リミテッドというのは、簡単に言うと渡されたカードだけで即興でデッキを構築して遊ぶという遊び方の総称です。
新製品発売前週に開催されるプレリリースという公認イベントで遊べる『シールド』もリミテッドの一つですし、アリーナでも遊ぶことができる『ドラフト』もリミテッドの一つです。
シールド…6パックを全員に配布してそのカードに基本土地を加えて40枚デッキを構築して対戦。
ドラフト…参加者に3パックずつ配布して“1枚取って(ピック)残りを隣に回す”をなくなるまで繰り返し、取ったカードと基本土地で40枚デッキを構築して対戦。少なくとも4人以上で遊ぶことが多く、8人がベストバランスと言われる。
このリミテッドも立派なフォーマット、というよりは競技種目の一つでもあり、晴れる屋さんで行われる「神決定戦」の中にもしっかり「リミテッド神」というのがあります。
使いたいカードを集めてそれで戦うのが基本となるTCGにおいては、なかなかに特殊な遊び方に見えますよね(ポケカにもシールドはあるようですが)。
ズブズブにTCGしかやっていない人には、どちらかといえばボードゲームに近い感覚かもしれません。
個人的に思うリミテッドの良いところは、マジックのストーリーの要素である「次元渡り」を存分に味わえることです。
いろんな背景世界のカードが入り混じるマジックですが、リミテッドにおいてはそのパックごとの世界観のカードで固定されるので、その世界観のキーワード能力や登場人物、独特な部族など…どこまでいってもそのパックのカードだけになるので『そのパックの次元への没入感』がすごいです。
プレリリースは特に好きなイベントで、キットに封入されている紙に世界観の説明が書いてあったり、最近はキットの外装からもさらに没入感が上がる工夫がされてたりとかするので、まさしく「テーマパークに来たみたいだぜ、テンション上がるなぁ」ってやつです。入場ゲートに並ばなくてもいいし、入場料だって安いし、楽しいことが約束されたマジックで遊べる上にお祭り感が味わえるテーマパークがいつものカドショに来るようなもんだぞ? 全国民プレリリースにいけ(圧)
そんなシールドと“ドラフト”の違いは、回ってきたカードの中から自分が使うカードを自分で選んでピックするので、シールドのような完全なパック運の要素だけでなく、同じ卓のメンバーとの駆け引きが発生します。
キューブってなに?
リミテッドとは何か?を説明して没入感の話をしたところでこう思う人もいらっしゃるでしょう。
「じゃあ自分でその世界観を使いたいカードや噛み合うカードでデザインしてリミテッドが遊べたら最高なんじゃないか??」
そう、その気持ちを反映することができるのが“キューブ”なんです。
どういうことかというと…
例えば、8人で通常のドラフトを遊ぶためには、24パックが必要です。
1パックは15枚入り(プレイブースターは14枚ですが)なので、
360枚(15枚×24パック)その場にある、ということになりますよね?
では、自分が使いたい360枚のカードをシャッフルして15枚ずつの束にして、8人に配るとどうなるか。
『あなたが使いたい360枚のカードでデザインされた世界観でみんなでドラフトが遊べる』
ということになります。
もはやブロックオリパよりも巨大なこのカードの塊こそが、「キューブ」と呼ばれるものになります。
実際には、8人ドラフトの枚数カツカツの360枚では、実際に8人でドラフトした際に何が何枚プールにあるのか分かるために再現性が高まってしまうので、最低400枚前後を用意するパターンが多いです。
しかし、どういった遊び方を想定して何枚のキューブを作るのも自由です。4人でのドラフトを想定するならば230枚程度でも十分な量でしょう。この自由度がキューブのいいところでもあります。
そうしたならば、後は普通のドラフトやシールドの要領でカードを配ったりピックをしたりしてリミテッドを遊ぶだけです。
おっと、キューブを作る際は基本土地の準備もお忘れなく。スリーブに入れてキューブとする場合は基本土地も同じスリーブに入れて充分量用意しておくといいでしょう。
ちなみに私もキューブを一つだけ持っています。キューブ好きの知り合いに「今まで見た中で一番特殊なキューブって何?」と聞いたら“黒単のキューブ”というのが返ってきたので、「んじゃ俺は赤単のキューブ作るわ」と言って本当に作りました。
まだまだ調整不足ではありますが身内で遊んだところでは概ね好評で、「どうなることかと思ったら意外とちゃんと対戦できるのが既に面白い」という評価が多いです。赤いカードとアーティファクトの寄せ集めながら、スライ、バーン、部族(ゴブリンとドラゴン)、ミッドレンジ、コントロール、ランプまで作れます。
こんなキューブを作る奴は世界広しといえども僕くらいのものだと思いますが、赤単キューブの最大のメリットは「用意する基本土地が山だけでいいので楽」ということです笑
ホースマンドラフトの遊び方
ではここから本題に入ります。
先ほど紹介したドラフトの遊び方では最低4人で遊ぶと記載をしましたが、
ホースマンドラフトは2人で遊ぶドラフトのピック方法になります。
この記事を読んでいるリミテ通の中には、2人で遊ぶドラフトと聞くと真っ先に「ウィンストンドラフト」や「ウィンチェスタードラフト」を想像するかもしれません。イメージはそれに近いですが、ホースマンドラフトはキューブを遊ぶために考案されたピック方式で、通常のブースターパックを用いて遊ぶにはいささか不向きかもしれません(使用枚数が多い)。ウィンストンドラフトやウィンチェスタードラフトと比較した場合の特徴は次の項で記載します。
ホースマンドラフトのピック手順
- 200枚程度以上のキューブを用意し、よくシャッフルして山札とします。
- ピックの先攻と後攻を決めます。
- 山札の上から各プレイヤーに5枚の手札を配ります。相手には見えないようにします。
- その後、山札の上から9枚のカードを場に公開して(表向きに)並べます。
こんな感じ - 先攻のプレイヤーから、手札のカード1枚と場にあるカードを1枚を交換します。手札から場に置くカードは表向きにします。後攻のプレイヤーも同様の処理を行います。
※重要※
この時、”交換しない”ことはできません。必ず交換を行なってください。
- 交換する処理を交互に計3回ずつ行います。1度目の交換で自分が場に置いたカードを再び交換して手札に入れるのもOKです。
- 3回交換する処理を行ったら、手札に残った5枚を裏向きに脇にどけます。この5枚はあなたがデッキを構築するために使用できるカードとなります。場に残った9枚のカードは捨て山に置きます。
- 上記の3.~7.の処理を先手と後手を入れ替えながら繰り返し、計9回行います。するとあなたがデッキを構築するために使用できるカードが45枚集まります。
- この45枚のカードと基本土地を使用して40枚デッキを構築します。
こうして出来上がったデッキで対戦を行います(もちろんBO3でもBO1でもよい)
ホースマンドラフトの特徴
同じ2人で遊ぶ一般的なウィンストンドラフトやウィンチェスタードラフトとの大きな違いとしては、前述の通りキューブの使用が前提であることがあると思います。
ウィンストンドラフトやウィンチェスタードラフトは計6パック(90枚)のカードで遊ぶために色の競合などが起こった場合にお互いに微妙な展開になってしまったり、片方にレアが固まってしまったり、同じ90枚で再度遊ぶ、となった場合にプールが既に分かっているために再現性が高まるという難点があります。
これに対してホースマンドラフトでは19枚を使用するピックを9回、計171枚のカードを使用するため、お互いにピックの方向性にゆとりが持てるということが長所と言えます。相手側の非公開情報も少なめになるので、ドラフト特有の「取らなかったカードに苦しめられる」という体験がたくさんできて面白いです。
また、通常のキューブドラフトのキューブと比べ、ホースマンドラフト用のキューブはカードの枚数が少なくても良い(最低枚数171枚、完全非公開情報とするためのバッファーを30枚程度考慮しても200枚もあれば事足りる)というのもメリットと言えるでしょう。たった200枚で自分の遊びたい環境をデザインできてしまう手軽さは最大のメリットかもしれません。
逆にホースマンドラフトの短所としては、ウィンストンドラフト等と比べてカードの調達が面倒であることが挙げられるでしょう。そもそもウィンストンドラフトが売られているパックの使用を前提としているので、そちらの準備の手軽さではウィンストンドラフトやウィンチェスタードラフトに軍配が上がると思います。
実際に遊んでみた
今回は東京は秋葉原にあります、“東京MTG秋葉原店”にお邪魔して、ホースマンドラフトを遊んで布教してきました。
今回の餌食体験者は、東京MTGの配信でもお馴染み、スタッフのノジマさん!
まずはセイカーさんとノジマさんが遊んで、その様子を賑やかす見守る僕という形。
ピックスタート!
まずはピックを開始していきます。
セイカーさん「…このような手順でピックしていきます」
ノジマさん「ほうほう、難しそうですね…」
ぷろすた「パッと聞くと難しく感じますが、ウィンストンドラフトよりも競合した時の事故が軽傷で済むので、早い話が自分の組みたいデッキや使いたいものをインスピレーションでまっすぐに行けばいいです」
ノジマさん「了解しました。やってみます。」
そんなわけでピックを開始。さすがにスタッフさんなだけあって飲み込みも早いノジマさん。
そんなノジマさんの前に現れたのは
ぼ、ボブ〜〜!!
往年の名カード《闇の腹心》。
ノジマさん「カードが全部強い…!あれもこれも取りたい…!ボブはもちろん取ります!」
強いカードで固められるというのもキューブドラフトの面白いところですよね。
ちなみに今回のセイカーさんのキューブのリストはこちら。
このキューブのテーマは“ノンストレス”。
シャッフルなし、カウンターなし、トークンなし、という最近のマジックのカードの煩雑な要素を完全に排してカードパワーも高めに設定することで「どういうデッキを組んでもちゃんと回りやすいのに対戦が非常にスムーズ」という、マジックの楽しさやルールを覚えやすい上に各カラーの有名なカードや強いカードを覚える機会にもなるというキューブに仕上がっています。
ピック自体にも時間がかかりますから、その後がスムーズなのは飽きも感じにくくなって良いですね。
さて、ピックも中盤。セイカーさんは赤青、ノジマさんは黒をベースに強いカードをピックしていきます。
ぷろすた「今の所思い通りにピックできていそうですね」
ノジマさん「そうですね、強いカードや取りたいカードは取れているし、強いものが作れそうです。」
意外とこのピック方法、自分の取りたいカードが結構取れるのと、本当に取らせてはいけないものであればカットしようかという話にもなりますが基本的にカットするほどのゆとりはあまりなく、自分のプールに噛み合う強いカードを取っていけばいいし、カラーごとのやりたいことが明確であるほどピックの方針が立てやすい仕様になっています(このへんは作成者のセイカーさんのセンスがいいのもあるかもしれませんが)。
ですのでリミテッドにあまり馴染みがない人でもすんなり馴染めると思うんですよね。
そんなこんなでピックが終了。それぞれがピックしたカードを見ていきましょう。
まずはセイカーさん。
ジェスカイカラーのカードプールになりました。このキューブでは赤白のテーマがバーン、赤青のテーマが果敢になっているので、本体をバーンしながらどっしりと攻められそうな赤青が組めそうですね。
そしてノジマさん。
黒をベースにしたものの、色が少し散ってしまった印象。とはいえ再活性と死体発掘、不吉な儀式の僧侶、ルールスと、どうやら墓地を使うと強いデッキを作る算段に見えます。個人的にはカラデシュの機械巨人サイクルを3体集めているところが最高にクールです。
対戦開始ー!
1戦目。先攻のセイカーさんは初手で山を置いてエンド。
後攻ノジマさんの1ターン目、
ノジマさん「アンタップ・アップキープ・ドロー、そのまま何もせずターンを終了して、8枚の手札からカードを1枚捨てるところまでいきます」
こ!
これはまさか!!!!
機械巨人「やぁ」
レガシーのリアニメイトデッキでお馴染み、後手で何もせずにエンドしてファッティを捨てるという『リアニの構え』!!!!!
次のターンに土地を置いて《再活性》を唱えることでいきなりゲームを有利に進めるという戦術です。
そのまま2ターン目。
ですよねぇ~
沼をセットして《再活性》で2ターン目に4/5警戒が降臨。レガシー特有の動きを綺麗に決めて見せるノジマさん。やっぱりレガシーのことにも精通しているんだろうなぁ。
ノジマさん「いや、生まれて初めてやりましたw」
ぷろすた「生まれて初めてのリアニの構えがレガシーじゃなくてキューブww」
そんなわけでいきなりピンチのセイカーさん。3ターン目に送り出したのはピックの中心になった《遺跡潜り、ジョリー・エン》。
僕がMTGを始めた頃のスタンダードリーガルカード
2枚目の呪文を唱えると1ドローができるという、なんとも果敢らしい1枚です。
しかし4/5警戒をどうにかすることはできるのでしょうか。
そしてノジマさんの3ターン目、1ターン目で何もしていないため2マナで送り出したのは《闇の腹心》。ここまでの流れだけ見たら完全にリミテッドvsレガシーなんだけど…
と、思いきや、セイカーさんの4ターン目。
セイカーさん「まず《稲妻》でボブを焼きます。そして手札から《凶兆艦隊の向こう見ず》をプレイ」
とても懐かしい。
セイカーさん「2回目の呪文なのでジョリー・エンの能力が誘発して1ドローし、向こうみずの出た時誘発能力で、ノジマさんの墓地のインスタントかソーサリーを追放し、このターン唱えることができるようにします。ノジマさんの墓地の《再活性》を追放し、プレイ!対象は今殺したボブ(闇の腹心)!」
自分の墓地とは書いてない
ノジマさん「な、なにぃーーッ!!!」
セイカーさん「これにてターンエンドだ」
もうめちゃくちゃだよ
その後もボブとジョリー・エンのもたらすアドバンテージで有利に進めるセイカーさん。このまま勝つかと思いきや。
セイカーさん「私のターン、アンタップ、アップキープにボブの能力が誘発!…あっ!!!!!」
宝船の巡行「8点喰らう覚悟はある?」
ぷろすた「ライフいくつだっけ?」
セイカーさん「6ですねwww」
ーー セ イ カ ー 、 死 す ーー
ぷろすた「いや、そんなアホな終わり方ある????wwww」
ということで1戦目が終了。
2戦目。
お互いにマリガン1回からのキープ。いきなり初手を見せてくるノジマさん。
ノジマさん「いける(《不吉な儀式の僧侶》でリアニメイトできる)んでこれでキープします」
ぷろすた「やってんなぁ〜(ほんまか?」
しかし後手とはいえ1マリガンしてるからさっきと同じ方法で捨てられないから厳しくないか??と思ったら駆けつけてきたのは《ウーナのうろつく者》。
これでリアニメイトが可能になり、その後は1戦目と同じく激変の機械巨人をリアニメイトして、ルールスでゲームを優位に進めるも6枚目の土地が引けず。
一方のセイカーさんは《戦慄衆の秘儀術師》を軽快に走らせアドバンテージを獲得しながら盤面と相手の顔面を焼き、
最後は奪って殴り...
投げ飛ばしてゲームセット。
3戦目はお互いに拮抗したものの、最終的にしっかりとビートで詰め切ったセイカーさんの勝ち。
マッチの勝者はセイカーさん!お疲れさまでしたー
感想戦へ
というわけでお互いのデッキをみていきましょう。
お互いに色の被りやテーマの競合が起きることなくうまく棲み分けができていいデッキに仕上がっていますね。
全体的にカードパワーが高いことも相まって、エキサイティングな展開が多く、とてもいい対戦で見ている僕もとても楽しめました。
ノジマさんにもとても楽しんでもらえたようで、
「なんかキューブドラフトのイベントやりたくなってきたな…」
と言い始めるくらいにはお気に召してもらえたようでした。布教作戦大成功!
まとめ
今回はキューブドラフトの一風変わった2人対戦、ホースマンドラフトを紹介しました。
どうです?楽しそうに見えてきたのではないでしょうか。
200枚前後というと作るのが難しそうに見えますが、どんな形に作るのも自由ですし、通常の構築デッキのように正解を追い求めるのではなく、自分の好みで作ればいいという気軽さがいいと思います。
新しいカードを入れてアップデートしたり、配分を少しずつ変えて楽しんでみたりと、作りっきりではなく、盆栽のように楽しめるのもキューブの魅力です。
400枚前後をゆうに超える枚数となる通常のキューブに比べ、ホースマンドラフト用のキューブは枚数が少なく、比較的手軽に集めることができますし、持ち運べるサイズ感なので入門にも手を出しやすくていいのではないでしょうか。
さあ、あなたもキューブの世界へぜひ。
毎月行っているぷろすた会では、要望してもらえれば僕が作成している赤単キューブを持っていきますので、ぜひ声をかけてくださいね!
ではまたー